野外スケッチ歴が長くなると、遅かれ早かれ、声をかけられる日がきます。
「自分は下手だし。すごくうまい人か本職の画家でもないかぎり、話しかけられることもないだろう」
そう思っている方がいたら、ぜひ今から心の準備をしておいてください。
野外スケッチをする以上、これは宿命だと思ったほうがいいです。
心配しなくても大丈夫。スケッチ中に声をかけてくれる人はほぼ100%、褒めてくれます。また不慣れから多少無愛想な対応になってしまっても、相手には「スケッチに夢中なんだろう」くらいにしか思われないので気楽なものです。
絵を褒めてもらったら、たとえお世辞だと感じても「ありがとう」と笑顔で返してみましょう。その方が相手の方のメンツをつぶさず、描き手側も気持ちよくいられるからです。
通りすがりの人が話しかけてくるサインはこれ
見知らぬ相手に声をかけるのは勇気がいること
逆の立場で考えるとわかりやすいと思うのですが。見知らぬ誰かに声をかけるのは今の日本だとかなり敷居が高い行動です。
いくら相手がスケッチをしているからといって、
- 不審者に思われるかもしれない(街のいたるところに「不審者注意!」の看板あるし)
- 作業を邪魔をされて、不快感をあらわにされるかもしれない
- 褒めても「自分、初心者なんですけど」と謙遜されて身の置き場がなくなるかも
好意的に受け取ってもらえるとはかぎりません。つまり、とても勇気を必要とする行為です。
私個人は、そんな勇気を出してくれた通りすがりの人に敬意を持っています
そのようなわけで、いきなりすっと話しかけてくる人はあまりいないように感じます。
野次馬と声をかけてくる人の見分け方
中には単に絵を見たいだけの人もいます。むしろこちらの方が多いですね。
よくあるパターンが、私の手元が見えるぎりぎりの距離を通り、さりげなく絵を見ていく人です。かなり不自然な動きなので描き手側からはすぐわかります(笑)。
では話しかけてくる人というと、ちゃんと私の横か向かいにやってきます。そして、ためらいがちに声をかけてくることが多いです。
スケッチ中、話しかけられて嬉しいのか。描いている側の本音
正直、私も人間なので。「今はスケッチに集中したいんだけど ^^;」と思ってしまうことはあります。持ち時間が30分しかない時とか
あと単純に、人に話しかけられるのが苦手って人もきっといますよね。おそらくは話しかけられるのを回避するためだと思いますが。ヘッドフォン装備でスケッチしている人を見かけたこともあります。
私は基本的に会話へ応じています。もちろんスケッチしながらなので、意識の半分だけ向けているという感じにはなりますが。
遅筆体質なので、内心「あぁあ、時間がっ……!」と軽く焦ってることもあります。
でもあとから振り返ると、「いい出会いだったな」って思うことがほとんどなんですよね。特に旅先での出会いは良い思い出ばかりです。
会話ベタでも大丈夫! スケッチ中の会話は難易度低め
実を言うと私はコミュ障です。
昔から会話が苦手で、仕事と趣味以外のおしゃべりはすぐ途切れる。1対複数の会話だとタイミングを読んで話に加われない(ずっと硬直してながめてる)。友達だって5本の指にも足りない(もはや猫友の方が多い)。
そんな私でも、このスケッチの場の会話だけは平気だったりします。なぜかというと、
・話しかけてくる人はなにか聞きたいこと、言いたいことがある。勝手にしゃべってくれるので、こちらから話題を振る必要はない
・ほとんどの人は「お上手ですね」といってくれる(半分はお世辞だと思うけれど。褒められて悪い気はしない)
・相手もこちらが作業中とわかって話しかけている。半分うわの空の応答になっても、無言になっても気分を害する心配はない
つまりは優位な立場に立って会話ができるわけです。多少愛想のない対応になっても変に思われないなど、コミュ障でも太刀打ちできる極めてやさしいレベルの会話だからです。
あと私の場合は本業がフリーランスかつテレワークのため、
・いつもひとり仕事なので、たまに人と話すのは適度に新鮮で会話のリハビリになる
という意外なメリットもあったりします(笑)。
旅先の会話はひとりのさびしさを和らげてくれる
個人的には近所より、知らない街や旅先で話しかけられるのが好きですねー。
「ここ、いいでしょ?」なんて地元の方にふられると、(良いところに目をつけたじゃん、自分)とテンション上がります。
スケッチ旅行は基本的にひとり行動。でも家族やカップルが多い観光地を歩くと、ちょっぴりさびしさを感じることもあるんですよね。
「あ、スケッチしてる!」なんて子どもの一声でもね(実際横浜で外国のお子さんにそう声をかけられました)。
どうしても話しかけられたくなくて、イヤフォンやヘッドフォンで耳をふさいでしまうのはありだけど。描くことに少し自信がついてきたら、勇気を出してはずしてみてほしいなと個人的には思います。
もちろん、煩わしい、恥ずかしいと感じる場面もあるかもしれません。それでも、たった2・3言の会話が忘れられない思い出になったりします。
一番最初に声をかけてくれた小さな男の子のこと、数年たった今でも覚えています。
この女の子の素敵なビューティフォーも忘れられません。
鉄則:絵を褒められたら「ありがとう」。謙遜はしない
絵を褒められると、「そんなことないですよ~」なんて返しがちですよね。
野外スケッチの場だけでなく、作品を投稿したSNS上でもよくあるシーンです。
でもこれ、海外では失礼に当たるらしいです。そうと知ってからはやらないように気をつけています。
「えっ? この明らかにだめだめな絵を褒めちゃうの??」と内心疑問符がついたとしても、返す言葉は「ありがとうございます(*^^*)」これで決まりです。心にもやるものがあったとしても、褒め言葉は素直に受け取るようにしています。
最初はぎこちなくても、慣れていくので安心して
スケッチを始めたばかりの方は、誰かに声をかけられて、作品を褒められる自分の姿というのが想像できないと思います。でも描き続けていれば、その日は案外早くやってきますよ~。
私が始めて声をかけられたのも、野外スケッチを始めて半年と経たない頃だったかな
ぜひ勇気を出して、会話に応じてみて下さい。あなたから会話をふらなくても大丈夫。どうしてもおしゃべりが苦手なら、一言だけ返してあとは黙々とスケッチを続けていても問題ありません。
人前で描くには場数が必要なように。話しかけてきた人に応じる、褒め言葉を素直に受け取る、これもちょっと慣れが必要かも。
焦らなくても、風景画スケッチャーとしての経験を積むうちに自然な応対ができるようになっていくと思います。
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