絵を描くと、やっぱり失敗ってつきものですよね。
私はこれまで失敗について「いくらしてもいいけど、そこで足を救われずに書き進めることが肝心」だと考えていました。
この考えで数年間やってきたので、今ではちょっとくらい失敗してもメンタルが折れちゃうとか、気持ちがなえちゃうってことはありません。
というより、もはや気にしなさすぎて失敗と馴れ合っていると言ってもいいくらいかもしれません。私は頻繁に凡ミスしますので、もう失敗とはすっかり旧知の中です。
でも、失敗って本当はもっと緊張感を持って付き合わないといけない相手なんじゃないか。最近そう思うようになってきました。
私はスケッチ歴が5年を超えてきたぐらいのところなんですね。さすがに5年過ぎてくると、もう「初心者なので」って言い訳できなくなってきたと感じている部分もあります。
※stand.fm「風景スケッチの世界へようこそ!」第1回目放送より
失敗作が多すぎて、個展に出せる作品がないという問題
さて。なぜこんな話をしているかと言いますと、理由は2つあります。
1つ目はあまりにも失敗してきた結果、個展に使えるような作品がほとんど手元に残っていないことです。
絵を描かない、興味がないという人が見ても、もう一目で明らかに分かるミスがあるような作品ばかりなんですね。トホホ……。
さすがにこういった作品は個展には出せないです。
ちょうどこの前、古いスケッチがちょっと溜まってきたので整理してみたんです。
実はこの前、普段からTwitterでお付き合いがあるギャラリーさんから個展のお誘いを受けたんですね。
でも悲しいことで今述べたような状況でして。それなりにスケッチ歴あるはずなのに、展示に回せるような作品がほとんど手元になかったんです。
もちろんこのお話は出せる作品がないから、という理由でお断りしました。
こういった個展の誘いって、絵を描いてる人だったらまあ誰でもいいやというセールスも多いかと思います。多分 絵を描いてる方、一度や2度そういったDMをもらったことがあるんじゃないでしょうか。
でも、今回の話はある程度SNSで付き合いのある方だったんですね。
そんな方からのお誘いもこういった理由で断るってどうなのよ、とその時は少し自分が情けなくなりました。
欲しいと言われたスケッチさえ、失敗が気になって渡せない
それから2つ目ですね。こちらも最近の話なのですけれど、スケッチの原画を譲ってほしいというありがたいお話を頂戴しました。
でもご指定の作品もよりによってまた大きく失敗してるものだったんです。うわ~、これもか……!
私、失敗の数だけは多いので、画像編集ソフトでミスを隠すのが本当に上手くなりました。むしろ絵よりこっちの方が上達してるんじゃないか?と思うくらいです。
サイトやSNSに投稿する時はそれでいいけれど(←いやあまり良くない…)、リアルじゃだめなんだよ(;´Д`)
原画の購入を希望された方は、「失敗した部分があっても、こちらは気にしないのでいいですよ」とおっしゃってくれました。 それでも本当に大きく失敗しちゃっていた作品だったので、毎日眺めては「うーん、これはどうしようか」と迷いました。
結局、そういう状態の絵が誰かのお手元に渡るということに私自身が耐えられなくて、このお話もお断りしました。
今回はさすがに、今のままだったらもう自分ダメだと痛感しました。
「初心者だから」という言い訳とさよならしたい
多分私は、これまでいた初心者の世界から離れていくいく時期に来ているのではないかなと思っています。
この風景スケッチは純粋に趣味で始めて、絵を売ろうとかいつかは個展開こうとかもう全然考えずに「旅先でスケッチできたら楽しいだろうな」っていう一心だけで始めました。
デジタル絵画の方は、副業としてお金をいただくレッスンでやっているのですけれど、風景スケッチは完全な趣味だったんですね。
ただ最近はその辺も変わってきまして。まだ触りだけとはいえ、人にスケッチ教えてお金をもらう機会も出てきましたし、今回ように作品が欲しい・個展やりませんか、というお声もたまにいただくぐらいのレベルにはなってきました。
じゃあ私自身がそういった期待に応えられているかというと、かなり実力不足が目立っています。
おそらく私のように絵を3年、5年と続けて経験を重ねてきた方は、こんな風にどこかで「もう初心者はやめよう、卒業しよう」と意識するタイミングが来るのではないでしょうか。
練達者でも失敗はする。けれどももっと上手に失敗する
もちろん、プロのスケッチャーさんでも小さなミスはよくするのだそうです(※実際作品を売ってる方の個展に行って直接聞いたお話)。
特に野外スケッチは時間の制約もあるので、間違いゼロでというのは難しい部分があるかと。
絵描きさん以外にも、例えばクラシックの音楽家もよく舞台で失敗をしてるそうです。
私は楽器を習っているのですが、先生に「本番で失敗しないんですか?」と聞いたら、「よくするよ」と返されたことがあります。
そして小さなミスについても。もうまく隠して、見ている人・聴いてる人にわからないようにカモフラージュする。この辺りは徹底しています。そこはさすがにプロです。
私の場合は、この致命的なミスを犯さないという部分がまるで出来ていません。元々、若い頃から注意力散漫な性格だったのも一因かも? 書類の誤字・抜け字をしょっちゅう指摘されてました(汗)
だからきっと小さなミスは一生付きまとうだろうと考えています。かえってミスをゼロにしようとして萎縮してしまい、一番大事な絵の持ち味を失っても意味がありません。
それでも。素人の方が見て、一目でわかってしまうようなレベルの低いミスはさすがにもうやめよう。本当に心からそう思います。
後で直せばいい。という意識の甘さが失敗を招く
実をいえば。ミスをする場所というのはおおよそ自分自身でわかってはいます。
例えば、私は一点透視の構図がすごい苦手です。元々遠近法が生理的にダメな人間だというのも大きいんですけど。
ちなみに一点透視というのは、並木道が左右にあって、道路の奥に消えていくというような、よくある構図ですね。
ここで道の傾き具合、道に沿って並んでるビルの傾き具合などをよく間違えることが多いです。
例えば、あるビルの上の辺だけカクンと自然に下がりすぎてるとか。
私は遠近法が生理的にだめなんので、遠近法無しで観察だけで風景スケッチしています。目で観察して、見たままに紙へ形状を写し取るというやり方です。
この観察が甘いと、傾きを間違えるということをやらかすんですね。疲れてる時にもよくやってしまいます。
それなのに。「うん、大丈夫かな。多分行けるだろう。行っちゃえ。あ、事故りました」っていうのが私の失敗の王道なんですね。
たぶんデジタルで上手に修正できるので、無意識のうちに「あとで直せばいいや」って考えているのが甘さに繋がってるんじゃないかと。これは非常によろしくない。
今後はこのミスを減らすという部分に1番力入れていきたいと思います。
ミスが多いうちは個展に出すなんて夢のまた夢ですし、 人からせっかく作品を欲しいと言われても、私自身が快く譲ることができないという悲しい状況になってしまいますので、なんとか来年はこのハードルを乗り超えていければいいなと思っています。
絵を描く上で、失敗を怖がらないことが一番大事。でも、失敗となれあってしまってもいろいろやっかいですよ、というお話でした。
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