スケッチスポットについて
都立光が丘公園内にある、バードサンクチュアリ(鳥の保護区域)。その少し先にシデコブシの木があります。
公園内には普通のコブシも植えられていますが、こちらの花色は白。シデコブシはやさしいピンク色の花を咲かせます。
スケッチの動機
光が丘公園の公式Twitterの投稿にて、初めてその存在を知りました。
せっかく近所に住んでいるのだから、これを見ない手はありません。さっそく出かけました。
あくまで見るだけ、です。花粉症がひどい時期だったし、なにより確定申告が終わっていなくて時間に追われている最中。スケッチの予定はありませんでした。
けれども。写真から想像していたより、本物の花はずっと可憐で素敵……! 通りすがりの人が代わる代わる写真を撮っています。シデコブシのまわりだけ春の空間が存在しているかのよう。
何もしないまま立ち去ってしまうのがあまりにもったいなくて。迷った末にスケッチしようと決めました。
スケッチのポイント
難易度:★★★
厳密な再現を求めず、雰囲気をとらえるだけならばそれほど難しくはない。ただし細いペンが必須。
スケッチする際の立ち位置:
歩道を挟んで木の向かいに小高い丘がある。その丘、または丘へ通じるゆるい坂道から描くといい。
人の目:上記の位置に立てば、誰かが真後ろを通らない限りは人目がない。人目が気になる初心者スケッチャーでも描きやすいスポット。
興味深い点
早い春に浮かれて、写真を撮っているいる人たちの姿も含めてスケッチするのがおすすめ。木のサイズ感が伝わるし、なによりウキウキとした気分が絵に生まれる。
注意したい点
- 柔らかい雰囲気を演出するために、細いニブの万年筆(日本製のEFがおすすめ)かミリペンを用意したい
- コブシの開花時期は花粉症も最盛期。症状がある人は要注意。
食料調達難易度:★
- 焼き立てパンを売っている売店「パークス光が丘」。名物はメロンパン。徒歩2・3分
- カフェというよりは食堂メニューが充実している「われもこう」。徒歩5分弱。
※急な休みも有り。その場合しっかり食事したい人は、徒歩10分弱で光が丘IMAへ出ればいい。大江戸線から来る人は先にそちらで食料を調達してくる手も。
スケッチの感想
今回の散歩スケッチは、私にしては珍しいことに極細の万年筆をメインとして描いています(※キャップレスデシモはパイロットの万年筆)。
普段は太めのTwsbiで描いてるので、細い線で絵を構成するという体験がとても新鮮でした。過去の作品と比べると、まったく雰囲気が異なる作品に仕上がっています。
細い枝をたくさん描く必要があるので、これはTwsbiに不向きのモチーフだなと判断。ただそれだけの理由でキャップレスを使ったんですが、花の持つ柔らかい雰囲気にぴったりでした。
3月のスケッチは花粉症が怖い。
今年も2月下旬頃から花粉症を発症。疲れやすくなり、PC前で頻繁に寝落ちする状態になっていました。もちろん鼻水やくしゃみも連発。
私は遅筆なので。野外スケッチを始めると、平気で1時間以上外で突っ立っています。その時は比較的平気なんですが……猛烈に目がかゆくなったり、けだるさに襲われるのはたいてい翌日。
ーーもう最近は真冬でも描いているんだから、せめて花粉症の時期くらいはスケッチをやめよう。
そうひそかに自戒していたにも関わらず、シデコブシの魅力に負けて描いてしまいました……。やはりただではすみませんでしたが、後悔はしていません。
春は私を待ってはくれない
季節はこちらの事情や都合をおかまいなしに流れていきます。
花もそう。のんびりと人を待ってはくれません。
特にコブシは花の衰えが早い。すぐ花弁が茶色くなってきます。大きい花は風の影響を受けやすいのか、強風の後には根本へ花を散らしている姿も。
数日も経てば。輝くような美しさは静かに傾き始めて、人が入れ替わり立ち代わりで眺めるほどの盛りはきっと過ぎてしまう。この最盛期のシデコブシが作り出す春の空間を味わえるのは、今このときだけ。
仕事が忙しかったり、家族のことに気を取られていたり、悪天候が続いたり。日常のちょっとしたことで開花のタイミングを逃してしまいます。
このシデコブシのように。誰もが足を止めずにいられるような最盛期の状態に出会えたのは、本当に幸運でした。
スケッチの着色
風景スケッチへ色を入れることは、最近あまりしていません。理由は単純に時間がないのと、色を塗るより万年筆で描く方に私の関心が向いているからです。
でもこの絵だけは、色を入れてみたいという誘惑にかられました。
久しぶりにお絵かきソフトのArtRage(アートレイジ)を使って、軽く塗ってみました。
参考までに。ArtRageのツールは「水彩(100%の水筆)」と「グロップペン」を使っています。
あまりしつこく色を重ねるより、これくらいシンプルな方が絵に合っている気がします。
今回のように、作品作りに対していろいろ思いがわいてくる作品は珍しいです(普段はスケッチが完成して満足して終わり(^^ゞ)。
出会うべくして出会ったのかな、と感じたスケッチでした。
アクセス
住所:練馬区光が丘4丁目1−1
シデコブシの詳しい場所はこちら。
交通:都営大江戸線:光が丘駅 徒歩10分/ 東武東上線(または東京メトロ有楽町線)成増駅よりバスも可 旭町南地区区民館より徒歩5分
※ウォーキングに慣れている人は成増駅より徒歩25分でもいけるかと
スケッチ可能な時間帯:24時間(開花シーズンは3月中旬。実際の開花状況は光が丘公園の公式Twitterをチェック)
一緒に回れるスケッチスポット
都立光が丘公園内
光が丘公園自体にいくつもの見どころがあり、一日中スケッチして楽しめます。おすすめは、光が丘のシンボルである灯台風の煙突を入れた風景スケッチ。図書館、体育館、貯水施設といった箱物もあり。
休日限定でバードサンクチュアリが開園。タカやカワセミなど珍しい鳥をスケッチできるチャンスも?
四季の香ローズガーデン
バラを中心に植えられている、小さな無料の庭園。コブシの時期にはまだ花が少ないものの、どのシーズンに訪れても季節の花を楽しむことができます。光が丘IMAそば。徒歩10分。
光が丘団地&マンション群
団地というものを見たことがない人には珍しい、近未来的(あるいは昭和風?)な眺めが広がっています。公園内からも団地の群れが見えます。徒歩10~15分
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