影をうまく活用する、夕方以降にスケッチする、短時間でラフに描くといった方法で熱中症のリスクをできるだけ減らすのが夏の野外スケッチのコツです。
この記事を描いている今、東京は35度の猛暑が続いております。
そんなわけで夏のスケッチはお休みしますと宣言したものの。実際のところ何度かスケッチしています。
趣味のスケッチを突然何ヶ月も休むというのは、やはりつまらないですよね。
ではどんな点に気をつければ夏の野外スケッチは可能なのか。私自身の経験を元にご紹介したいと思います
真夏の野外スケッチにおける問題点
まずはリスクについて、確認しておきましょう。夏場の野外スケッチでは主にこの3つの問題があると考えています。
- 熱中症になるリスクが高い
- 体力の消耗が激しい
- 集中力、根気が続かない
熱中症になるリスクが高い
夏スケッチ最大のリスクは、言うまでもなく熱中症です。
特に夏の暑さになれていない時期が怖いです。私自身もスケッチ中に「ちょっとまずいかな…」と異変を感じたのは、5月の初夏、真夏の暑さになれてない7月でした。
少しでも気分が怪しくなってきたら、中断して涼しい場所へ移動しましょう。
体力の消耗が激しい
気温が高い環境でスケッチしていると疲れやすくなります。
他の季節なら1時間描き続けても平気なのに。夏は暑さとジメジメでラフスケッチ2枚を描くのが精一杯。帰宅後にそのまま寝落ちしたこともありました。
夏に時間をかけた大作を描くのは難しいです。
交通費をかけて遠くまでスケッチに出かける場合、コスパという意味でも夏はスケッチ向きではの季節ではないなと感じます
集中力、根気が続かない
奪われるのは体力だけではありません。暑さと湿度によって、集中力と根気もガタ落ちになります。
集中力がなくなると、野外スケッチになれているはずの中級者でもつまらないボンミスを連発してしまうことも。
いつもなら耐えられる細かい葉の描き込みも、夏は根気不足ですぐ投げ出したくなります。
そのようなわけで、夏は個展用など気合を入れた作品を描く時期ではないと個人的には考えています。
夏に外でスケッチをする際のポイント
ではリスクを踏まえた上で、できるだけ安全にスケッチするポイントを見てみましょう。
すべてを実践するのは難しいと思います。自分の生活スタイル等にあわせて、実践できそうなものに取り組んでみてください。
- 短時間で仕上げる「ラフスケッチ」を基本に
- 日陰で描けることを優先する
- まめな水分・カロリー補給
- 疲れを覚えたら撤退する勇気を
- 涼しい18時以降にスケッチ
- 夜に夏の生き物をスケッチ
- 高台からスケッチ(室内)
短時間で仕上げる「ラフスケッチ」を基本に
普段一枚のスケッチにどれくらいの時間をかけていますか?
夏場の野外スケッチでは、いつもの半分以下の時間を目安に手早く描き上げるのがおすすめ。いくら日陰で描いていても、高温と湿度(最近はゲリラ豪雨続きで夏でも高め)による体力消耗はさけられないからです。
これもサクッと15分で描いた一枚。普段よりかなり省略した表現にして、時間短縮を図っています
短時間で描くラフスケッチの経験がない方は、こういった時短で仕上げるコツを集めた教本が参考になると思います。
日陰で描けることを優先する
普段のスケッチでは、一番モチーフが映える構図を考えて自分の立ち位置を決めるかと思います。
自分の身をなんとか隠せる日陰(最低でも半身くらい)は、周囲を見回すと案外見つかるもの。木の下、柱の影、植え込みの影などです。
以下のスケッチも影に立って描いたものです。時刻は15時でまだまだ暑い時間帯。とても日なたでは描けません。
諦めきれず、近くにある日陰から描けないだろうか?と実際立ってみて確認。そのうち一箇所から見た風景がなんとか絵になりそうだったのでスケッチしてみました。
正直なところ。もう数歩横から描いた方が絵になるなとは思いましたが、そこはグッと堪えて安全第一。
まめな水分・カロリー補給
スケッチへ夢中になると忘れがちなのが、水分・カロリー補給といった小休憩。
サクッと15分で仕上げるつもりが、30分経ってもまだ終わらないなんてことよくありますよね。少し長引いてるなと感じたら、いったん手を止めて水を飲みましょう。
スケッチ終了後も、同じように補給休憩を取りましょう。
疲れを覚えたら撤退する勇気を
夏スケッチでは時に描きかけの作品をあきらめて、撤退を決行する自制心が不可欠。
少しでも疲れてきたら、撤退を考えましょう。
熱中症は最悪一生寝たきりになるリスクもあります。元気であれば、またこれからの夏も来年の夏も描くことができます。
この撤退する勇気をもてない場合、夏の野外スケッチはやめて秋を待った方が無難だと思います。
涼しい18時以降にスケッチ
日々の天気予報を見ていると、おおむね18時頃から気温が下がって涼しくなるようです。
この一時間のためにわざわざ外出するのはちょっと……という方は、なにか用事をすませた帰り道でもいいと思います。
仕事で街に出ている方は、通勤帰りにスケッチを楽しむには最適の時期。ビル街など照明が多い場所であれば、20時頃まで描けるところも。
夜に夏の生き物をスケッチ
大きな公園が近所にある、緑が多い場所に住んでいるという方はライトを持って夜間のスケッチも楽しめます。
虫が苦手な方はごめんなさい。ここ、読み飛ばしてください
両手を開けておきたい場合は、ヘッドライトやクリップ式のライトで頭や腰にライトを装着すると便利。
特に山用・アウトドア用のものは軽量小型で扱いやすいです。私も山にハマってた頃買ったものを使ってます。
街灯の下を散歩してみると、自然の厳しさあり、思いがけない生き物のユーモラスな一面ありと発見が多いです。
高台からスケッチ(室内)
暑いなら室内でスケッチすればいいーー。
それが最適解とはわかっているものの、日本ではスケッチ可の美術館・博物館は海外ほど多くはないのが実情。
けれども、室内でゆっくりスケッチできる場所があるんです。
夏のスケッチは腕鳴らし程度に。本腰を入れるのは秋になってから
私にとっての夏スケッチは、秋が来るまでのつなぎ、といった位置づけです。
作品を作るなど本腰を入れることはありません。本気で夏と向き合えば、今の温暖化の環境では熱中症を避けられないからです。
外で描きたいという気持ちも満足させられて、腕が鈍らない程度にスケッチの実践ができる。
夏スケッチはこのふたつだけで十分ではないでしょうか。
スケッチの本番は夏の次にやってくる秋。
夏の間は体調を崩すような無理をせず、来るべき季節を待ちましょう。
無理に外出せずとも。他のスケッチャーの作品を研究したり、教本や動画で技法の研究をするという過ごし方もあります。
むしろ秋になればスケッチで外出する機会が増えるので、じっくり勉強できるのは今だけかもしれません。
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