作品ギャラリー最終更新 2024年9月25日

絵を売ると、5%の個人事業税を取られると知って驚いた話

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個人事業税とはなんぞや

実はこの前、個人事業税のお問い合わせという書類が届いたんです。私はフリーランスなので、 このような調査が毎年来ています。

個人事業税って初めて聞く方がほとんどじゃないかと思います。

個人事業税とは「あなたがビジネスする上で地域の施設や設備を使ってるでしょ、だからその分の使用料を払いましょう」 という建前の税金だそうです。

事業ごとにこの税金がかかるかからないに決まっています。さらに、かかるなら何%というのも細かく定められています。

でも、「ん?」と首をかしげる部分も多くて。例えばですね、私、オンラインレッスンで絵を教えることあるんですけど、これ個人事業でかかります。

師範業という扱いで5パーセントです。と言っても、オンラインレッスンなんてパソコンとネット回線しか使いません。しかもネット回線の設備は回線会社やプロバイダーの管轄で、とても公共の機関とは思えないですよね。

そして、この絵のレッスン以外にオンラインでクラウドソーシングを通じた仕事もやっているのですが。こちらは無税だそうです。

必要な設備が全く同じなのに、なんでやねんと正直思ってしまいます。

ちなみにデザイナーさんもこの個人事業税の対象だそうです。よくSNSで「納得いかない」というぼやきを見かけます。そうですよね~。

絵を売ったら画家業の扱いで、個人事業税はなし?

では本題です。実は最近絵を売ってほしいと言われたり、絵のグッズを売ろうかなと考えたりしています。

じゃあその場合、個人事業はどうなるのかな?と税務署の方に聞いてみました。

結論としては、絵とそれを元にして作ったグッズの販売は物品販売業になる可能性が高いとの回答でした。

あれ……? 絵については画家の事業として税金はかからないという話を以前ネットで見たことがあったような?

だから、きっと絵の販売については無税だろうと思っていました。日本ってアーティストに優しくないけど、この点は良心的だなと。ところが実際聞いてみたところ、しっかりかかるらしいです。

物品販売業というくくりで5%の税金だそうです絵を売っても画家扱いにならないって、どういうことだろう?

画家業の扱いになるのは、絵を売ってる人のほんの一握りだけ

税務署の方に質問しながら、私、途中で恥ずかしくなってきたんですけれど。画家業扱いになるのはかなりレベルの高い人の話になるそうです。

どういうことかというと、 絵の販売ではなく、鑑賞目的でお客さんに来てもらう領域に達していないと適用されないのだそうです。例えばゴッホ展入場料2000円とか、そういったレベルですね。

てっきり個人作家のレベルの絵でもいいと考えていたので、「日本太っ腹じゃん」と思ってた私が甘かったです。税務署の人もすごい申し訳なさそうに説明してくれました。

日本で入場料取れるレベルのアーティストっていうと、商業として売っている人の中でもさらにごく一握りではないでしょうか。

じゃあ絵を元に作ったグッズはどうなのか? 例えばポストカードやカップ、もちろんこちらも物品販売扱いで5%です。

絵やグッズを売るなら、あらかじめ5%を上乗せすべき?

今後絵やグッズを売るつもりなら、価格に個人事業税の5%を上乗せしとかないといけないのか……。そうつぶやくと、これまた税務署の方が控えめに教えてくれました。

個人事業税は290万超えない限り払う必要はないとのことです。

やったね! 絵描きとして売れない限り、個人事業税はゼロ円です

290万円の稼ぎまでは控除扱いなんですね。つまり、稼ぎ0円と同等に見なされまして、無税0円です。もちろん所得税とかのお話です。普通の税金は別ですよ。

それはそうですよね。ただでさえ前提が怪しすぎる税金ですし、控除なしで払えとなったら、さすがにブーイングが起きそうです。

私の場合。絵やグッズの販売、それからレッスン代のトータルで290万超えるかというと、 残念ながら一生超えずに終わる可能性の方が高そうです。

ただ税務署の方が言うには、 もしギャラリーで個展を開いて絵を販売した場合には、芸術性が高まるのでケース判断になるかもしれないとのことです。

これはつまり、判定する人によって判断が分かれるってやつですかね。

私は今後5年以内に個展を開けたらいいなと考えています。その時税務署の判断、どちらに転ぶのかな?

いやいや、そもそも290万も個展で売り上げるわけないので、心配いらなそうです。

そしてもう1つややこしいのが、販売の場合は「手に取れる形態であるか」がポイントらしいです。

「手に取れる形での作品販売ですか」と、少し念押しして聞かれました。おそらくはLINEスタンプ、NFTなど、デジタル形式での販売だと扱いが変わるのではないかと思います(※そこまで突っ込んで聞きませんでした。気になる方は税務署まで)。

日本で絵描き一本でやっていくのは、経済的な問題で難しい

個人事業税。絵1本で生計を立てていて、290万超える売り上げがある作家さんに結構大きいですよね。5%かかるかどうかの違いって。

今はインボイスもあるので、人によっては所得税、個人事業税、消費税と、三重苦になります。

これくらいの重荷を跳ね返せるだけの実力がなければ、専業の絵描きにはなれないというわけです。厳しい……。

諸外国に比べて、市民の間にアートが広まっていないのもわかる気がします。

しかもこの売上の290万という課税ライン、画材などの経費も引くことができないというお話でした。

こんな感じで税務署の方から詳しいお話聞いてるうちに、この国で絵一本生計立てるって相当厳しい話なんだなと 感じました。

絵の価格が高いのには納得の理由がある

ギャラリーやアート市で絵の価格を見た時、「高いな」って感じたことはありませんか?

私も絵の活動を始めたの40歳近くなってからなので、今でも正直高いなと感じることあります(経費から算出した自分の絵の価格に対してすらもそう思います)。

でも自分が絵を売る側になって。制作の手間はもちろん、こういった税金を含めた裏側を知ってしまうと「生活のためには仕方ないな」と理解はできるようになりました。

絵が売れた時、その金額の100%全部が懐に入るわけではないからです。

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