作品ギャラリー最終更新 2024年9月25日

ひとり旅の寂しさはこれで解決♪ 一人行動でも浮かない、旅スケッチのススメ

目次

孤独がつきもののひとり旅

「ひとり旅に興味はあるけれど、一人じゃやっぱりさびしい。行ってみたいけれど不安」

そんな方にはぜひ、旅先の風景や出会ったものを記録する「旅スケッチ」をおすすめしたいです。

絵といっても絵の具は不要。ペンと紙だけで始められる気軽なものです。

旅先では身軽が一番。道具もできるかぎり少なく。

かくいう私も20代の頃から、仕事やプライベートで何度かひとり旅を経験してきました。

けれどももう寂しくて寂しくて、初日の夜から「あと◯日で帰れる…」と指折り数えているような状態だったんです。

観光地へ行っても、ひとり行動の自分が浮いていないかとそればかり気にしていました(行くと決めたのは自分なんですが(;・∀・))

でも今回。絵を描きながら旅をしてみたところ、そんな寂しさ、居心地の悪さをまるで感じませんでした。5日というそこそこ長い期間だったのに。

むしろスケッチを通じて他の旅人と知り合ったり、より深く土地の魅力を感じられたり、と忘れがたい旅路になりました。

ひとり旅にまつわる不安に対して、強力なお守りとなってくれる旅スケッチ。今日はその魅力と効果をご紹介します。

※長文なので、目次を活用しながらご覧くださいませ。スマホは右下にアイコンがあります。

旅スケッチの魅力

コツコツ作業の繰り返しで孤独を意識しにくくなる

作業に打ち込んでいる間は集中し、つかの間だけれど悩みから開放された。そんな経験はないでしょうか?

たとえば身近なところでは、部屋の片付けや料理、ハンドメイドやデータ入力など。

スケッチにも同じ効果が期待できます。絵を描くというと、想像力をフルに活かしたアート趣味のように思われるかもしれませんね。

でも実際やってみると、コツコツ作業の繰り返しです。

ざっくり形を決める→もう少し細かく描く→さらに細部を描き込む

この3つの動作を繰り返すことで作品は完成します。今回おすすめしているシンプルなペンスケッチであれば、絵の具も使いません。

個性的な色使い、ぼかしなどセンスを求められる表現は不要。

創造性には自信がない、という初心者さんでも「同じ作業の繰り返し」と思えば、取り組みやすいと思います。

こうしてスケッチに打ち込んでいると意識がそこに集中するので、まわりがあまり気にならなくなります。

近くで友人同士がポーズを決めて写真を撮っていても、カップルがおしゃべりしながらそばを通り過ぎても、孤独を感じて動じることがなくなります。

キラキラリア充グループがそばにいても、私の心は水のように穏やかです

最初はちょっとだけ、慣れが必要かもしれません。けれどもいったん悟り(笑)が開けると、観光地のど真ん中でも落ち着いた心持ちでいられます。

ひとり行動に慣れる→孤独を楽しむ、という心の持ち方を自然と学べる

とはいえ、最初は人前でスケッチをすることに抵抗があるかもしれません。

私もスケッチを始めた初心者の頃、人があまり近寄らないような場所を選び、コソコソと描いていました。はっきりいって、怪しい人だったと思います(笑)。

おどおどしがちなスケッチっ初心者。怪しい人に見えても仕方がない。

以前沖縄へ行った時も。観光名所でのスケッチがどうにも落ち着かず、人がいない公園を探したほどでした^^;

慣れないうちはこんな感じで、そっと人目を避けてのスケッチでもかまいません。

ーーそれだと描くものがない?

旅スケッチとは立派な洋館や美しい景色を描くものである。そう思い込んでいませんか?

道端で珍しい花を見つけたと思ったらそれを描けばいいし、今日買った土産物屋のクッキーを描いたっていいんです。

街を探検してみよう。目を惹かれるものが必ずひとつはある。

こうしていくつかスケッチするうちに、少しずつ外で描く自信がついてくると思います。たまに人がちら見しても、前ほど動揺しなくなっている自分に気づくかもしれません。

一人でいることに慣れてきたら、少し行動範囲を広げてみましょう。

これまで避けてきた観光名所など、少し人が多い場所へチャレンジしてみるのもいいですね。

建物全体や広い範囲の景色を描き上げるには、スケッチ体力がついてこないと厳しいです。途中で気力が尽きたり、時間がかかって観光できなくなってしまうことも。

たとえば洋館を描くのであれば、入り口部分に絞る。装飾がきれいな張り出し窓だけ描くなど、余裕を持てる程度に難易度を落とすのが楽しんで描くコツです。

まだ人目が気になる場合には、観光名所ではない街の姿を訪ねて歩くのはいかがですか?

私は商店街や裏路地を歩きながら、地元である東京にはないものを探すのが好きですね~。観光ガイドへ出てこない場所にこそ、本当のその土地らしさがあります。

宿前の港。東京では見ない色のクラゲ、釣り禁止看板を無視して毎朝集う釣り人たちなど、色々興味深かった。

そうしてだんだんスケッチが楽しくなってくると、もうひとりのさびしさはあまり感じないと思います。

そして描くことを通じて、あなたの目はこれまでとは違った見方で物を見て、感じるようになっています。

何もないと思っていた退屈な場所でも、これまで気づかなかった新しい発見がきっと見つかるはず。

旅先という非日常におけるスケッチ体験

絵を通じて、新しい出会いが生まれることも

絵を描いている間は気が紛れていても、旅のあいだ誰ともおしゃべりする機会がないのはやっぱりさびしいーー。

ひとり旅における動物との出会いは癒やしの時間。でもたまには人間と話したい……。

そんなあなたに朗報です。

人前でスケッチしていると、高い頻度で声をかけられます。地元の街でさえよく声をかけられるくらいです。

「お上手ですね」「この橋、素敵でしょ?」など、いきなり来るので初心者さんはビックリするかも。

もし不器用な受け答えになってしまったとしても、大丈夫。相手は「絵を描くことに集中していて半分上の空なんだろう」と気にしません。

私も本当に集中している時や時間に追われているとき(あと10分でバスが出てしまう、など)はそんな感じです(^^ゞ 申し訳ないけれど。

会話といっても。多くの場合は、「お上手ですね」「ありがとうございます♪」で終わるくらいのごく短いもの。気構えなくても大丈夫ですよ~。

こちらが作業中ということもあって、長々と話し込むことはあまりないです。

でも実際どうしたらいいのか。あらかじめ心構えを知りたいという方は、こちらを参考にされてみて下さい。

フェリー:それいゆのデッキにて

最近の旅行ではフェリーへ乗船しました。デッキでスケッチしていると、父親ほどの年齢の男性から声をかけられたんです。

ノートの見開き2ページを使って描いたもの。広い空の下でのスケッチは最高!

その方は船内をスケッチしてまわっていた私の姿を何度か目撃していたのだとか(そんなに大きくない船だし、そりゃあ目立ちますよね…)。

トラベラーズノートに描き溜めてきたものをお見せすると、物珍しかったのかたいそうお褒めいただきました。

人前でスケッチしていると。慣れるを通り越して、だんだん図太くなります(笑)

多少へたくそな絵を人様に見せるくらい、痛くもかゆくもなくなります。慣れっておそろしい。

ひとり旅へどんなに慣れたとしても。やっぱりたまには人との会話が恋しくなります。

だからといって、飲食店のカウンターあたりで他の旅人やお店の人に話しかけられる……? 私は口下手なのでとても無理です^^;

そんなわけで、スケッチを通じて短い会話を持てると妙にうれしいんですよね~。

こんな出会いもまた、ひとり旅の良い思い出になります。

自分の手で描いた風景は強く記憶に残り、忘れられないものとなる

旅先でのスケッチをあとから見返すと、あの日のじりじりとした日差し、海からの涼しい風、などその場で感じた空気が脳裏に蘇ります。

風景スケッチは紙に残るだけじゃない。記憶の中にも色鮮やかイメージとして刻まれる。

自分の手で描くと、同じ場所を観光して写真に撮った時よりも強く強く、記憶に残る気がします。

記憶というより、五感に残るといったほうが正確かな。写真から描くことと現場でスケッチすることの一番の違いはこの点にあるかと。

そして同じ場所であっても、季節や時間帯などによって感じる空気は変化します。もし同じ場所をスケッチしたとしても、2回目は1回目とは違う新鮮さがあると思います。

下関のクジラ

今回の旅行で特に印象深かったスケッチは、山の中腹から街を見下ろす巨大なクジラのオブジェでした。

今では管理する人もなく放置されたままのクジラは、彼の故郷がある南極の方角を眺めるように配置されています。このクジラの内部はかつて資料館だったそうです。しかし閉館から長い年月が過ぎており、私の他に訪れている人はいませんでした。

くじらの足元では、茎の長いたんぽぽのような花たちが咲いていました。その花から蜜を集める蜂たちの羽音を聞きながら、私はスケッチを始めました。

かつては水族館の一部であり、たいそう賑わっていたというこの場所はどんな様子だったのだろう? このかわいそうなクジラは将来どうなるのだろう?

そんなことを考えながら描き進めます。ふと嗅いだ空気に、これまでいた港よりここの方が潮の香りが強いことに気が付きます。

ーーと。こんな感じで、スケッチしているとその土地の空気をより強く感じることができます。ただ観光していたときには気づけなかった小さな発見をいくつも体験します。

旅先でのスケッチはひとつの出逢いといえるかもしれません。

描いている対象の多くは建物や景色であって人ではないけれど、出会いの喜びがあり、知り合う楽しみがあり、心の中で興味深い対話があったように思えるのです。

こういった”出会い”の連続があったからこそ。私は寂しさを感じず、ひとり旅の5日間過ごせたのかもしれません。

ひとり旅で悩むあのシーンもスケッチで解決!

スケッチできると、ひとり旅のあんな場面やこんな場面でも役立ちます。

話相手もなく、退屈な待ち時間・移動時間

飛行機やバスの待ち時間。ひとり旅だと話す相手もいなくて手持ちぶさたですよね。

そんな憂鬱時間もスケッチをして過ごせば、楽しいアクティビティに早変わり! 空港の待合室の様子やなにげない民家もスケッチのお題になります。

先日の旅行では帰りに飛行機を利用。せっかく追加料金払って窓際席をとったものの、雲が多くてあまり景色は見えず。スケッチがちょうど良い暇つぶしになりました。

万年筆を飛行機内で使用すると、気圧の変化でインク漏れする場合があります。機内のスケッチは十分注意されてください。

ひとりだと浮きがちな観光地

独り身で人が多いところへ乗り込むのは勇気がいりますよね。

でもスケッチしていると「ひとりで当たり前」という視線が注がれるので、気楽に過ごせます。

お花見にもひとりで乗り込んでいきました(スケッチ5年目でだいぶ図太くなった)。

万が一「おひとりで旅してるんですか?」なんて聞かれても、安心。

家族や友人を気まぐれなスケッチ旅に付き合わせることはできませんからね、ええ、だからひとりなんですとドヤ顔で答えられます。

東京ディズニーランドやハウステンボスといったテーマパークも、スケッチ目的で訪問したらなかなか楽しそうですよね。

人目が気になって、ゆっくりできない飲食店

ひとり旅だと、飲食店へ入りにくくないですか? 私は大阪へ行った時、お好み焼きへ入ろうか入るまいか、店のまわりを30分ぐるぐるしたことがあります(笑)。

やっと入ったら入ったで、まわりの人達はカップルだったりグループだったりで楽しそう。

あるいはその逆にガラガラで、カウンターでお店の人とマンツーマンで困った(体験あり)なんてことも。せっかく休憩のために入ったのに落ち着かなくてさっさと出てしまった、なんて方も多いのでは。

そんなときもスケッチが助けてくれます。

せっかくの温かい料理が冷めてはお店にも失礼なので。先に資料用写真を撮影→食後にスケッチ→残りは宿で写真を見ながら、という3段階で仕上げるのがおすすめ♪

どうしてもお店に入れないというシャイな方はテイクアウトもあり。お弁当もスケッチのお代になります。

初めての食べ物スケッチは、ケーキーなど時間で変化しない料理が描きやすいと思います。

孤独にさいなまれる旅の宿

ひとり旅で最も孤独にさいなまれる瞬間。私にとっては、ホテルの部屋に入って一人になったときがそうです。

旅の間はひとりとはいえ、常に人の気配と声がある状態で過ごしてきました。

でも部屋に入ると、それらが一切消えるんですよね。急にしんとして、じわじわとホームシックの波が…。

もちろん体を休めるのが最優先ではありますが。どうにもさびしくなったら、絵を描きましょう!

窓の外は真っ暗なのに、何を描くか?って。部屋の間取りです。

海外の街絵描きの間では、止まったホテルの部屋や食事の様子、あるいは開いたスーツケースの中身などなど。リアルな旅のワンシーンを描くのが定番だったりします。

それから昼間のスケッチ。

もしまだ仕上がっていないようでしたら、この時間に少しやっておくと帰ってから楽です(日常生活に戻ると、やろうと思ってもついつい後のばしに…)。

私はこの作業を夜景の見えるフリーラウンジで行っていました。ちょうど浴室のそばにあったので、湯上がりにお土産のお菓子をつまみながら、まったりお絵かきを楽しめました。

今思うと、すごい贅沢な時間の使い方だったなぁ……。

リゾートホテルに泊まっている場合、滞在中ちょっとしたショーや演奏が行われるかもしれません。

動く人間相手のスケッチは難しいですが、これの旅スケッチの定番。機会があればぜひお試しあれ。

スケッチの始め方と道具

身軽にペンと紙だけでOK!

旅は身軽イズベスト。ペンと紙だけあればいいです。神戸のような市街地への旅であれば、現地調達も可能かと。

初心者のうちは、小さな物をコレクションのようにスケッチして集めるのが楽しくておすすめです♪

スケッチブックではなく、コピー用紙のようなバラ紙を使いたい人は、クリップボードが便利。

私はA5の書籍用紙をAQUA DROPs社のクリップファイル(リヒトラブ社)に挟んでます。

旅に持参するなら、A5サイズがコンパクト。もう少し大きな絵を描きたければA4でも。

今回の旅行では、パスポートサイズのトラベラーズノートを使ってみました。旅スケッチに慣れてきたら、これ一冊埋めるチャレンジにトライしてみるのもおもしろいです。

余白に説明や感想を入れて、入館チケットやレシートも一緒に貼り付けておくと、そのまま旅のアルバムになります。

ペンはすべりが良い(紙にひっかかからず、筆圧で手が疲れない)ものであれば、なんでも良いと思います。強いていえば、細いペンと太いペンでは得意とするところが違うので、両方揃えておくと便利です。

細いペン:精密描写が得意。太いペンでは描ききれない細部の表現にも

太いペン:時短スケッチ向き。少ない線で絵に説得力を出せる

ちなみに私は万年筆を使ってます。長年のOA仕事で痛んだ手首でも、筆圧いらずで描けるので重宝しています。

私自身はペンと紙の他に、消しゴム、鉛筆、ダーマトグラフも持参しています。鉛筆は下書きと陰影付け用、ダーマトグラフはてっとり早く暗部を表現できるので使ってます。プラスアルファの表現用なのでなくてもかまいません。

最初は下手で当たり前。描いていくうちに上達するので焦らずに

最初はみんな下手で当たり前。枚数を描くほど上達するので、まずは描いて、絵を完成させないことには始まりません(ゲームで敵を倒さないとレベルが上がらないのと同じ)。

まずはとにかく一枚やってみましょう!

絵って、上手い人でも下手な人でも。経験が長い人でも短い人でも、「きれいに描かなきゃ」という呪いにとらわれやすいです。私も年に何度かはこの呪いにかかります。

「きれいに描かなきゃ」と思い始めたら、こう思い直してみてください。「うまいヘタより、その場の空気が伝わる絵を目指そう」と。

絵を描くというとまわりを気にしてしまい、特にSNSだと上手な人・才能がある人と同じ土俵によじ登ろうとして自滅してしまう人が多いです。

あくまで「ひとり旅を楽しむために描いている」そのことをどうか忘れずにいてくださいね。

まずは「描く」というより、「形を再現する」と意識するのがおすすめ。時計を描くなら、その絵を他人が見てすぐに時計と判断できるように描く。ここがスタートです。

まとめ

スケッチが心強いお守りになってくれた

この記事は、5日間の福岡~山口ひとり旅から帰って一月ほど後に書きました。

これまでのひとり旅だと。もう初日から憂鬱、観光地やお店ではオロオロして挙動不審という感じだったのですが、スケッチしながらの旅では常に落ち着いて過ごせました。

今回訪問した門司港や唐戸市場は有名な観光地。それなりに人が多かったものの、私以外は全員グループという環境でもどーんと構えていられました。「スケッチしているからひとりなんだ」という正当な理由(?)があったことで、自信を持てたのだと思います。

思った以上に効果的だったので、次回は海外にもひとりで行ってみようかな、と考え始めています。

いきなり旅スケッチが不安な場合、家の近くで練習がおすすめ

「自信がないから、あらかじめ練習して少し慣れておきたいな」

そんな方はまず、近所での散歩スケッチはいかがでしょうか?

ポストや信号といった構造が単純なもの、チューリップのようにシンプルな花一本など。自分が描けそうだと思えたものからトライしてみてください。

慣れてきたら、マンションや公園の遊具、お店の店頭など少し複雑なものへとレベルアップします。

近所で旅スケッチのリハーサル。

きれいに描く必要はありません。見た人にそれが何であるのか伝われば、十分。それじゃ退屈だな~と思ったら、描きながら思ったことを余白につけたしたり、タイトルを入れてみましょう。旅スケッチ感がぐんとアップします。

まずは気軽に、自分ができそうと思ったところから始めてみてくださいね。

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